Kaguyatom

(Explicit)

5枚で1000円

 「○○デビュー」という言葉がある。ある何らかのきっかけによって今までのイメージとは違った行動をとることを意味するが、河原和音のおかげか、今ではすっかりメジャーな言葉となっている。

 「○○デビュー」には様々な用法があり、しばしば使われるのは「大学(高校)デビュー」のような周囲の環境の変化によるデビューや、「渋谷デビュー」のようなイベントによるデビューがあるが、最近見つけた中で最もドラマチックで最悪なデビューは「エイズデビュー」だ。

 今から約30年前、世間におけるエイズHIV患者は、元魔王軍百獣魔団長よりもひどい扱いをされており、「触ったら感染る」とか「ゲイ特有の病気」というように根拠のない迷信が当たり前だと思われていたのである。

 そんな世界でもしエイズと診断され、余命30日と宣告されたらどうなるだろうか。まず「そんなのはうそだ」と信じたくないだろうし、日に日に悪くなる体調などから信じざるを得なくなったとしても、そうなったときにはもう周囲の人間には疎んじられ、居場所を失っているだろう。そうなったらもう、死への恐怖と闘いながら、一人静かに涙を流したり、自分を見捨てた友人や同僚、無責任に余命を言い放つだけの医者などへの怒りで、必死に生にしがみつくはずだ。

 しかしそんな時でも必ず似た境遇にいる人や理解のある人がいるのが面白いところで、そういった人との出会いや自分自身の成長によって人は「デビュー」することができると思うと、君と青い車で海へ行くのはいささか早すぎる気がする。

 ところで、30年前のアメリカは認可されたHIV治療薬が少なく、"AZT"と呼ばれる治療薬が臨床試験段階に入っていた時代であった。エイズになってしまった以上、必死になって情報を集めた結果その薬の存在を知ったら、人はどうするのか。さらに、その薬が実際には酷い副作用があることや、隣国ではより良い代替薬が手に入れられるとわかったら…?

「だったら、密輸して死ぬ前にひと稼ぎしようじゃん?」

  無許可のものを販売することはもちろん違法であるが、それを隠す手段はたくさんあることは、このブログにたどり着くようなネットの住人ならもちろん承知の上だと思うが、薬の出回る場所としてクラブはよく挙げられる場所であるイメージがある。高級なところならなおさら危ない気もする。それがいわゆる裏社会だと、私の少ない人生経験では、考えるしかない。

 「5枚で1000円」というのは、友人がレンタルビデオ店でアダルトビデオを借りるときの決まり文句だが、『ダラス・バイヤーズクラブ』の「1ヶ月で4万円」というルールと比べたらお得に聞こえる。それは30年前でも同じだっただろう。HIV患者を除いて。

 そんな『ダラス・バイヤーズクラブ』では、4万円の会費を払えば無料でHIV治療薬を手に入れられる。だが、もちろん利益のために設立されたクラブである。会費を払えない人間には薬を渡さない。しかし、そんなクラブにも転機が訪れるのだ。それまで利益だけ考え経営されていたクラブが、あるきっかけによって赤字も気にせず薬を渡すようになる。まさに「善良デビュー」というわけである。

 人生における「デビュー」の数は非常に多いが、それよりも遥かに多いのが「デビュー」のチャンスだろう。『ダラス・バイヤーズクラブ』はそんなチャンスを生かした人の話だ。レンタルビデオ店に行くときは、是非ともこのタイトルを思い出してほしい。5枚で1000円なんだから。

 

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ブログ開設です

 思えば僕がTwitterを始めたのは、中学時代に学校に間違えて携帯を持って行ったことで調子に乗っていると判断されたことがきっかけでした。ルールを密かに破ることの喜びという人間の基本的心理作用によって複数回持って行ったことは確かですが、調子に乗っていたら省かれるという中学校の友情システムも考えものです。その友情システムも僕という極めて不自然な人間を作り上げるうえで必要なプロセスだった、と、今では言うこともできますが、中二病を患い生死を彷徨っていた当時の僕にはおおよそ見当もつかなかったことでしょう。

 気が付けばTwitter歴もとうに2000日を超え、様々なツイッタラーを見てきたものだと思っていますが、こういう風に考えるところが、高校時代の友人が僕のことをナルシストと呼ぶようになった一つの理由でしょう。しかし、両親が共働きで保育所のトップひょうきん男として君臨していた人気者の僕に、全員から好かれることは不可能であると気付かせるのに十分すぎる2年と半年間でした。

 この頃にはヒップホップに首まで浸かっており、バスロマンがあればもっと良かったなと今では思っていますが、そんな現在ではヒップホップという海に溺れていると言っていいレベルだと思っています。ナルシストではないですが。

 僕のブログといえば、fc2ブログのものを思い浮かべる人が多いでしょうが、今回このブログを開設したのは、中学生の僕が開設した2つのブログの更新を3日でやめてしまったことに後悔を憶えているからでも、またも懲りずにバスケットボールについて書くためでもありません。僕は、僕の才能をこのブログというステージへ持っていこうと決めたのです。コービー・ブライアントがいうところの"Success at Success"です。

 コービー・ブライアントへのリスペクトについては今後書くことができると思うのでこのくらいにしておきますが、そろそろお風呂も溜るので本題に入ろうと思います。このブログでは主にTwitterに書くだけではなんとなくMottainaiと思う僕の考えや趣味・嗜好を、客観的に見つめ直すという目的も含め、書いていきます。

 本来僕は、ものを書くときに「より○○なものを」と考えるとつらくなって、A4一枚のレポートでも5日かかる人間ですが、Twitterというものに関してはつらくなるどころか日々楽しくなる一方です。自分ではより面白いことを書けていると思っていますが、これも恐らく僕のナルシスト的気質が成せる業だと考えたほうがよさそうだと、音ゲーをやりながら考えています。つまり、Twitterで自分が面白いと思ったものを書くことはただの自己満足であって、SNSという公衆の面前でオナニーをしているに過ぎないということです。それでも僕はそれを次のこのブログというステージに持って行こうとしていますから、僕はナルシストなのでしょう。

 また、Twitterという場は考えをさらすのに非常な危険な場所であるとも思っています。僕だけではなく、ネット右翼だとか物申すマンだとかそういった人たちも考えを晒しているだけではありますが、中には晒すだけでは飽き足らず、MP5やアバカン、バレッタなど、思い思いの武器に詰め込んで撃ち込みたがる人も存在する、いわば法も秩序も存在しない戦場だからです(悪意はありません)。フォロワーの少ない僕のメインアカウントではそんな悪意のない無作為の暴力に出会うことはありませんが、僕のNBAアカウントではしばしば発生することです。だからこそ、NBAアカウントではツイートするのが以前ほど楽しくなくなってしまい、メインアカウントのツイート数の増加によってそれは目視することができます。

 メインアカウントではそこまで呟く人は存在しませんし、タイムラインを遡っても僕のツイートしか見れない人たちがいると考えると、僕のツイートに含まれているネタが非常にコアで、また、面白いと思うためには似たような知識・嗜好の持ち主である必要があり、そんな人間は学校を見渡しても見当たりませんし、SNSというツールを使ってもソマリアでダイアモンドを見つけるような作業である気さえしているため、非常に申し訳ない気持ちになるのです。

 共通の趣味を持つということが非常に稀である以上、僕のように多趣味な人間と共通の趣味を持っている人間を見つけることは、新たな元素を見つけるくらい大変なことなのかもしれません。

 このブログというステージの客席に、新たな元素がいることを祈ります。