Kaguyatom

(Explicit)

ゆくアルバム、くるアルバム 2019 春

 

 はい、今年もやってまいりました、その年にリリースされたアルバムをランキング形式で紹介する企画『ゆくアルバム、くるアルバム』のお時間です。今年もTOP10でいこうと思います。よろしくお願いします

 

前回↓

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前々回↓

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  1. Milky Way - Bas

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     第10位にランクインしたのはこちら!統計では、後述のDrake "Scorpion"と一票差とのことです*1。全編オシャレでテンポ速めなので、ヒップホップとして聴くというより普通にBGMとして聴ける。でもちゃんとリリック聞くとリリシズム*2もあっていい。「ヒップホップファンではないけど洋楽好き」みたいな人にオススメなヒップホップでした

     

  2. Kamikaze - Eminem

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      これ9位なんですけど、実は最初「微妙だな」とか思ってて、どのツラ下げて9位にしてんだという話。ただ、俺の好みではないけど、何回か聴くとエミネムのヤバさわかりますね。このアルバム、現地当局ではTOP3入りしてるとこがほとんど*3なんですが、好みじゃないので9位。「"Kamikaze"といえばTwista」から「"Kamikaze"といえばEminem」に代わった瞬間でした

     

  3. Room 25 - Noname

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     Nonameさんのアルバム "Room 25" が8位にランクイン。前作 "Telefone" から1年の沈黙を破りリリースしたこのアルバムですが、評価の高かった前作からその期待を裏切るどころか上回ってきた感じがあります。オシャレさは前作より下がったけど内容には磨きかかってて年月の恩恵を感じました

     

  4. Czarface Meets Metal Face - CZARFACE & MF Doom

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     ウータン・クラン*4のメンバー・Inspecter Deck率いるCZARFACEですが、今回はヒップホップグループであるMadvillainよりMF DOOMをプロデュースに抜擢し、アルバム "CZARFACE Meets Metal Face" をリリースしました。なんと7位です。個人的に、MF DOOMのプロダクションは好きで、クソかっこいいので聴いてください。登場人物みんな大文字だから書きやすい

      これは構成も良くて、なんかアメコミっぽくなってます。それぞれの曲が1ページないしは1章になってるので、全部聴かないとわかんない感じがある。僕はそういう構成に弱いところもあり、7位でした

     

  5. Care For Me - Saba

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    6位ですが、Sabaです。これNonameと同じで、2年前にリリースしてそれが評価されて、そのあと期待を上回ったもの出してくるのすごい。なんか何なんですかね?このオシャレな感じ。今のヒップホップって感じで。いろんな要素が組み合わさってそれが還元されてる感がすごい。シカゴ出身のラッパー、すごい。「このラッパーがすごい!」大賞があれば間違いなく金賞。前述のNonameよりも期待の上回り方がすごかったので、これでした

     

  6. Nasir - Nas

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     2018年を語る上で外せないのは「大坂なおみ選手の全米オープン優勝」「ナマハゲ、ユネスコ無形文化遺産へ登録」「カニエ・ウェスト、5連作を発表」の3つですが、その5連作のうち、Nasのリリースである "Nasir" がランクイン。他のも惜しかった。これはプロダクションがカニエであるところが非常にズルで、アルバムとしては短い30分の構成の中にカニエのかっこよさとNasのかっこよさがダブルできてます。スカイラブ・ハリケーンでした

     

  7. YSIV - Logic

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     「 "Nasir" がキャプ翼なら、こっちはイナイレだ!」のスローガンの下開発されたのがこちらのアルバム "YSIV" です。表彰台に一歩とどかず。LogicのBoom Bap*5シリーズ "Young Sinatra" からの最後の作品になります。 "Young Sinatra" の名を冠しているだけあって、全編ブームバップです。このタイミングで出すのがずるいよね。ちなみに2018年にLogicはトラップ*6シリーズ "Bobby Tarantino" の新作も出しており、評価が分かれるところです。

     なんといっても "Wu-Tang Forever" で、ウータンメンバー揃い踏みで8分くらいラップしてる。本来ウータンのレコーディングスタジオで行われているべきサイファ*7が曲になっちゃった。もうこの話2018年には腐るほどしたんですけど、2019は初になります。初夢、初売り、初ウータン、初ロジック、そして初恋…… でも周りがすごすぎて4位でした

     

  8. Book of Ryan - Royce Da 5'9"

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     めちゃくちゃパーソナルな内容を歌った175cmの男のアルバム "Book of Ryan" が銅メダルです。強いのがいくつもあって、例えばエミネムとの "Catapiller" とか、コールとの "Boblo Boat" とか基本的にいいんですけど、客演ナシの "Legendary" "Power" "Strong Friend" "Anything/Everything" あたりはもっとすごいと思った。ロイスはこのアルバムが完成した時、聴きながら泣いたって言ってましたが、ほんとに泣けました。 "YSIV" と同様、普通の年なら金メダルですが、これも運に恵まれず3位でした

     

  9. Redemption - Jay Rock

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     その絶妙なバランス感覚で評価を上げた、Jay Rock "Redemption" が銀メダルとなりました。これはマジで何回でも聴けるやつで、2017年でいうところの Tyler, The Creator "Scum Fuck Flower Boy" 的なやつだと思う。アガる曲と聴かせる曲のバランスが絶妙。これに関しては、ケンドリック・ラマー始め、TDE*8全体に言えることですが……

     そして2018年に聴いたアルバムランキングでは2位だった "Flower Boy" に続けるのか。そういったところも見所なアルバムでした

     

  10. KOD - J. Cole

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     2018年「このアルバムがすごい!」賞、2018年に聴かれたアルバムランキング1位、など、数々の賞を受賞した今作 "KOD" が堂々の1位。リアルに2018年だけで100回くらい通して聴いたと思う。別でやってる音楽ブログにも解説&考察記事を書いたりするほど聴いたし、それ書いた後にもいろんな発見があって最高な一枚。"Once an Addict" という曲がインタールード*9として挟まれてますが、母親が酒飲みな自分にとってはめちゃくちゃ共感できる内容で良かったです。

      中に入っているメッセージも強烈で、ピカソの『ゲルニカ』的な存在だと思った。後世に語り継がれる存在だと思っているので、優勝でした

 

 以上、「ゆくアルバム、くるアルバム」賞 TOP 10*10でした。

 


 

 ここからは、残念ながらTOP 10入りを果たせなかったアルバムの紹介になります。当ランキングでは30位までを決定しており、それ以外はノミネート作品ということになります。では、ご覧ください

 

11位~20位

  1. Drake - Scorpion
  2. Earl Sweatshirt - Some Rap Songs
  3. Vince Staples - FM!
  4. Evidence - Weather or Not
  5. A$AP Rocky - TESTING
  6. Cozz - Effected
  7. Pusha T - DAYTONA
  8. Phonte - No News Is Good News
  9. J.I.D - DiCaprio 2
  10. Meek Mill - Championships

21位~30位

  1. Kanye West - ye
  2. KIDS SEE GHOSTS - KIDS SEE GHOSTS
  3. 呂布カルマ - SUPERSALT
  4. Anderson. Paak - Oxnard
  5. THE CARTERS - EVERYTHING IS LOVE
  6. Black Milk - Fever
  7. BLACK THOUGHT - Streams of Thought, Vol.1
  8. Various Artists - Uncle Drew (Original Motion Picture Soundtrack)
  9. PRhyme - PRhyme 2
  10. Kendrick Lamar, The Weeknd, SZA - Black Panther The Album

ノミネート作品*11

 以上、TOP 10とか「聴いたわ!」な人はよかったら聴いてみてください

 


 

 年々聴く枚数が増えていっていて、音楽聴いてない時間がほぼ無いと言っていい状態になってます。そろそろ鼓膜くらいから脳まで音となってゆきたいところ。キャパシティ的に "Flower Boy" "KOD" あたりのヘビロテしてたのなくせば後2~3枚聴けそうな部分はある

 

 ただ、こんだけ裾野を広げても日本語ラップだったり、R&B/Soul界の音源はほとんど聴けてないですし、まあ僕が忌み嫌っている内容のないトラップ*12も聴いてやらなきゃなのかな、と思いますし…… なかなか掘り出すのが大変なのは、昔と比べてとにかくラッパーの数が増えたからでしょうか

 

 多くのラッパーが生まれ、一発しか当てられなかったりその一発すら当てられず消えていったりしていく儚さ…… そんな儚さの中、2018年も、ゆくアルバム、くるアルバム、ありました……

 あけまして、おめでとうございます

 

 おわり

 

トラップ(字幕版)

トラップ(字幕版)

 

 

*1:俺調べ

*2:歌詞のよさ、言葉遊び等

*3:HipHopDX、Genius等のアメリカメディアではマジでかなり評価高い。俺の中で評価が伸びなかったのは俺がそこまで英語できないからかもしれない

*4:老舗ヒップホップ・グループ

*5:所謂サンプリングとブレイクビーツを使っているヒップホップのこと

*6:ブームバップに対して、盛りに盛ったベースと細かいハイハットが特徴のヒップホップを指す。酷いときは64とかでハイハット打たれてたりするが、ブームバップでは基本8ビートなのでまずありえない

*7:ラッパーが集まって適当にラップすること。本来は人の集まりで同じことをやるならサイファーらしい

*8:Top Dawg Entertainment

*9:曲と曲の間に挟まれる曲のこと。間奏曲。「曲と曲の間に挟まれる曲」とは?概念を感じる

*10:当ランキングに出てくるあらゆる賞、ランキングは架空で、すべて筆者の脳内で行われています。

*11:50音順。特に良かったものは赤字です

*12:Migosのことを指してますが、日本で言うところのBAD HOPであり、そいつらの真似事をやってるあらゆる人たちを含みます